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千野静のカリフォルニア通信

米国西海岸に在住の研究者のブログ

トランプ大統領の就任演説 ー アメリカ・ファースト ー

2017年1月20日正午 第45代アメリカ合衆国大統領、ドナルド J トランプ氏の就任演説があった。ワシントンDCと、ここカリフォルニアとは時差が3時間あるので、朝、9時頃にテレビでその様子が報道されていた。

 

その演説は米国民は当然ながら、世界中の人、一人一人に呼びかける内容だった。

 

特に私にとって印象的だったのは、民主党から共和党への力(パワー)の移譲ではなく、ここ(おそらく中央政府)からあなたへの力(パワー)の移譲だ。

 

という部分だった。

 

アメリカは今から30年ほど前までは、国内であらゆるものが生産されていた。ところが人件費の高騰や第二次産業からサービス業や金融業の第三次産業への産業構造の変化に伴い、生産設備を国外へ移転していった。その結果、国内であらゆるものの生産が行われなくなり、大量の労働者が職を失い、人々から活力が失われていった。

 

そんな中、低賃金で、きつい肉体労働には需要があったのだが、アメリカ人はこうした職に就くことはなかった。そうした低賃金の職には、主にメキシコ人を中心とする移民の人々が従事していった。

 

だからトランプ氏が言う、メキシコ人がアメリカ人の職を奪っているというのは正しくない。多くのアメリカ人はベトナム戦争前後の時期から勤労意欲を失っていて、今や仕事する気がないのだ。

 

トランプ氏はこうした人々に呼びかけ、海外に出ていった企業をアメリカに戻し、雇用を創出し、強いアメリカを取り戻すということを強調していた。

 

おそらく、トランプ氏は海外にある米国企業やそこで働く人々のみならず、海外派遣しているアメリカの陸海空軍の兵士たちもアメリカ本土に戻すことを予定している。おそらくNATOを解体し、沖縄に駐留しているアメリカ軍もいずれは撤収するだろう。駐留を続けてほしければ、日本政府に費用をもっと出せと言っているし。

 

そもそも、考えれば分かることだが、アメリカが本気で中国と戦争するつもりなら沖縄は中国本土に近すぎる。(尤もアメリカ国債を大量に保有し、いつでもそれを売ることのできる中国に戦争を仕掛けるとは思えないが。。。)

 

また現代の兵器は原子力空母も含めた航空機による空からの展開や、原子力潜水艦による隠密作戦が中心とだろう。それを考えるとアメリカ軍基地はグアムの方が地政学的に都合がいいし、規模的にも十分だ。

 

辺野古の美しい海を埋め立ててまで普天間移転をする理由はどこにもないはず。基地の建設費用や思いやり予算などといってアメリカ軍の駐留費用を支払うようでは日本は独立国とはいえまい。

 

話がずれた。

 

もう一つ、トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」という言葉を何度も口にしていた。日本の新聞社はこれをアメリカ第一と訳している。それだけ聞くとナンバーワン・アメリカ、みたいな風に聞こえるがそうではない。

 

アメリカ・ファーストは反戦のスローガンである。第二次世界大戦の時、イギリスはドイツに負けそうになっていた。その時に、アメリカを戦争に巻き込んで、自国を有利にしたかったイギリスは、様々な手段を講じていた。

 

これに反対する世論がアメリカ国内で起こり、彼らはアメリカ国外の問題(戦争)に対処するのではなく、アメリカはアメリカ国内の(問題)を第一に考えようと訴えた。それがアメリカ・ファーストだ。

 

本日、早速トランプ氏はTPPからの離脱を表明した。

 

日本の自民党は民主党政権の時、TPP断固反対といって選挙戦を戦っていた。自民党はその公約を曲げて、2016年の年末までTPP推進に邁進していた。はてさて、どうするのだろうか、自民党は。

 

海外から日本を見るとほんとに情けないくらい日本はアメリカの属国だ。日本は高度成長期、経済と民度は一流、政治は二流だったのだが、今はすべてが三流になってしまった。悲しいやら、情けないやら。嘆かわしい。

 

いけない、また話が脱線してしまった。

 

こうしたことをひっくるめて考えるとふと頭に浮かぶのはかつて田中角栄が日本列島改造論でぶち上げたようなことをトランプ大統領は目論んでいるのだろうと想像する。

 

大陸改造。きっとこれだろう。

 

総括すると、トランプ氏が就任演説で訴えたことは(国外の)戦争に関わって経済を回すのではなく、国内のインフラ整備に人・金・モノを投入して雇用を創出し、働くことであなた(人々)の活力(パワー)を取り戻そうということであった。

 

これからのアメリカは、今日の日を境に大きく変わっていくだろう。