千野静のカリフォルニア通信

米国西海岸に在住していた研究者のブログ

Nippon First という発想

トランプ大統領が「America First」と就任演説で述べたことに前回触れたが、

 

我が国の安倍首相がもしも、トランプ大統領が誕生するより前に

 

「Nippon First」

 

と演説して、日本は日本の国内問題の解決に第一に取り組むと世界に向けて発信していたらどういう事態になっていただろうか。

 

これまで世界中で新自由主義が金科玉条のように喧伝されてきたわけだから、安倍自民党は気が狂ったかと言われていたかもしれない。

 

また日本のマスメディアは鎖国していた江戸時代に戻るつもりか、などと非難していただろう。

 

だけど、考えてみて欲しい、日本は東日本大震災とそれに続く福島第一原子力発電所の事故で大量の放射性物質を空や海にまき散らした。

 

空も海もつながっている。日本は日本のみならず、多大な環境汚染を世界に広げてしまった。日本がその事実を認めようが認めまいが厳然とした事実としてある。

 

日本はNippon Firstとして宣言し、これに全力で対応することが真に成すべきことだった。

 

家族や家を失い、仕事も失った人が大勢いた。時の政権は民主党だったが、政治はこうした人々に真に寄り添うことが求められていた。何も知らされない国民は被曝させられ、仮設住宅に住まわされ、十分な補償は今もなされていない。

 

もし日本の政治家が正しいことをしていたなら、日本は事態を収束させるために責任を果たそうとしているということが世界中の人々にも伝わっただろう。

 

ところがである、猪瀬都知事だったが、オリンピックの東京誘致をぶち上げ、招致活動をし、その後、安倍首相は2020年のオリンピック開催地が東京に決まった時に、福島第一原発事故は「アンダーコントロール」などと誰が聞いてもわかる嘘を世界に発信した。その自覚は本人にはないのかもしれないが、あれは決定的な出来事だった。

 

東京オリンピック開催が招いたことは、セメントなどの建築資材の高騰や、建築士が東京の仕事に従事したために生じた、福島を始めとする東北地方の復興の遅れである。

 

アメリカはこの大統領選によって大転換の時を迎えている。連邦政府は2017年1月20日をもって政権の人事を総入れ替えした。アメリカはこの時を持って瞬間的に180度、向きを変えた。その証拠にトランプ大統領はCSISのリチャード・アーミテージ、マイケル・グリーンをお役御免にした。

 

アメリカの現政権は明治維新以降の統治機構を起源とする、戦後の日本の政体を解体しようとするだろう。

 

そしておそらく、東京オリンピックは中止させられる。(中止を日本から言い出すのではなく、外圧で中止が決まる。日本の政治は外圧でしか物事が動かないからだ)日本は主権国家ではないのだから当然と言えば当然なのだが。(その体裁はとっているが)

 

もう一つ、日本は国民主権が憲法に謳われている。その憲法を破棄しようと画策する自民党政権は、世界から奇異の目で見られるだけでは済まされないだろう。

 

こうしたことを考えると天皇陛下が生前退位を望まれているにも関わらず、審議が遅々として進まないことにも合点がいく。安倍自民党はおそらく天皇陛下が煙たい存在なのだ。

 

自民党自身が内部で自浄作用が働くならまだ見込みはあるが、そうでなければ諸行無常の響きあり、だろう。平家物語の冒頭が思い浮かぶ。

 

そろそろ日本国民もおかしな自民党政治および、官僚とマスメディアによる国民支配の構造に気がつかないといけない。国が滅びてしまうその前に。